諸外国の放射能食品規制措置

 原発事故から3年が経過しました。

汚染問題としてこれまでは各地で測定されるベクレル数値それに伴う放射能汚染の拡散および汚染土壌の処理などが話題になっていましたが、ここへ来て俄然、汚染水処理問題がクローズアップされています。

 

日本政府は汚染水問題に関して(これまでに既に何度となく汚染水流出事故は発生していますが)「完全なコントロール下にある」と諸外国に宣言し、さらなる安全性を高めるために東電任せではなく国が前面に出て解決する姿勢を鮮明に打ち出しました。是非、そう願いたいですが、汚染水処理の最終的処理が海洋排出しかないとすれば「水産物をはじめとして食の安全性は本当に守れるのか?」とだれしもが思い浮かべる疑問だろうと思います。

 

食品の暫定安全基準値は今年の4月より野菜・穀類・肉・卵・魚など一般食料品については100ベクレル。飲料水については10ベクレル。牛乳については50ベクレル。乳幼児食品については50ベクレルと改め、被災地の復興の願いそして風評被害の払しょくの意味も込めて福島、宮城県などの「農産・水産物を食べよう」のキャンペーンも打ち出し現在に至っています。

 

その折も折、韓国政府は9月6日に福島、青森、岩手、宮城、栃木、群馬、千葉の8県からの水産物輸入の全面禁止措置を発表、また同時に8県以外の地域の水産物、畜産物についても非汚染検査証明書を要求すると発表しました。これを受けて政府は韓国政府の措置は新たな風評被害を生むもの、科学的な根拠のない不当な輸入制限だとして、韓国を相手取り、年内にもWTO(世界貿易機関)に提訴する方向で検討に入ったと産経新聞が報じましたが、実は輸入禁止・停止の措置をとっている国は韓国だけではないのです。

 

下記の農林水産省発表の平成25年9月9日または10月2日現在の「諸外国・地域の規制措置」を御覧ください。放射能汚染食品の輸入制限の態様も各国によって様々ですが、韓国以上に広範囲にわたって輸入禁止・停止措置を行っているのは実は米国です。

 

ロシアはどうでしょう?

チェルノブイリ原発事故を体験したロシアは青森・岩手・宮城・山形・福島・千葉・茨城・新潟の8県の水産物、水産加工物すべて輸入停止、そして上記以外の県すべての水産物、水産加工物については日本の証明書で済ますのではなく、ロシアにてサンプル検査を課し、また、中国も宮城・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・新潟・長野のすべての食品、飼料について輸入停止措置をとっています。

 

一方、米国はどうでしょう?

農林水産省のデータを見ると具体的に品目まで特定して輸入停止措置をとっているのがわかります。その品目の多さは順に福島を筆頭に栃木・岩手・宮城・茨城・群馬・千葉・青森・山形・埼玉・新潟・山梨・長野・静岡と続いています。そして輸入停止品目以外の食品については、49都道府県産の食品(農産物・水産物に関わらず)すべて米国においてサンプル検査を課すとしています。

 

米国のこの緻密で具体的な品目指定による厳しい輸入禁止・停止措置はなにを物語るのでしょうか?米国は日本国内で流通する農産物・海産物の汚染濃度を全都道府県にわたって独自に調査し品目ごとに選別したと思われます。輸入禁止・停止品目に特定された食品はたとへ日本の安全基準に適合したとしても、米国の安全基準に照らしては安全性が保たれない、自国民の健康被害に影響があると判断した結果と思われます。米国は米国独自のよりシビアな視点から日本の安全基準を見ています。食品の安全基準に関しては各国によって異なることは当然ですが、放射能汚染度に対する耐性が人種ごとによって異なることはあり得ません。「食の安全性」は誰にでも保障されなければなりません。

 

マスコミは「韓国が食品輸入禁止措置をとった」と報道する時、合わせて諸外国はどうなのかその事実を同時に国民に知らせるべきです。そうすることで「食の安全性・その基準値」の問題はさらに深まり、「汚染水の最終処理は海洋排出で本当に済むのか」という未来を見据えた問題として展開していくと思います。 

 

【農林水産省:諸外国・地域の規制措置】

http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_131001.pdf

なお、上記のアドレスにアクセスできないときは「諸外国・地域の規制措置・農林水産省」で検索すると閲覧可能です。