【放射能汚染と脳卒中・心臓病】

 

広島・長崎市に放射線影響研究所というのがある。

ご存知の方はおられるだろうか?

これは終戦直後、占領軍によって長崎・広島両市における被曝の影響、特に人体に対する影響を調査研究するため設置されたもの。

終戦から約70年たった今でもその研究はひそかに続けられ、

その対象は被曝二世、三世と言われる人にまで及んでいる。

 

人類史上初めての原爆投下

その恐るべき被害状況は「100年間は草木も育たないだろう」と言わしめるほどの壮絶なものであった。その当時といえば、第二次世界大戦は終わり、かわって冷戦の兆候が見え始め、米国、ソ連が核開発競争に乗り始める頃。

米国としては広島・長崎の原爆投下直後の破壊状況や直接間接を問わず被曝、あるいは放射能汚染による自然的・人的被害等の調査研究のデータはのどから手が出るほど欲しかったに違いない。

 

米国には膨大な被曝に関するデータがある。

福島原発事故直後、米国政府は在日アメリカ人に半径80km圏外に避難するように勧告を出した。

日本政府といえば後出しじゃんけんのように3km・5km・10kmなどのんびりしたものだった。

私は最初、この「半径3km内の人は避難してください」との政府発表があったとき、それで大丈夫なのかなと内心不安に思ったが・・・

 

放射線影響研究所の70年にわたるデータは日米で共有されていると思うがこの認識の違いはどこから来るのか?

被曝国日本としての核と放射能汚染の恐ろしさの認識が欠如しているのではないか。

一方、米国は放射能汚染の影響を今でも重視している。20~30年で「はい、おしまい」なんてものではないのだ。放射線影響研究所がいまだに存続し調査研究してるのがその証拠だ。

 

 その放射線影響研究所が2010年1月、イギリスの医学誌

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルにそのデータに基づく論文を公表している。それによると広島・長崎の爆心地から約1km~1.25km離れた地点で約1グレイの線量を浴びただけでも脳卒中の死亡率が9%、心臓病の死亡率が14%高くなっているというのだ。

 

(グレイというのは放射能を帯びることによって空気がもつエネルギーの量を表す単位。シーベルトというのは放射能が人体にあたえるエネルギーの量。1グレイ≒1シーベルト)

 

 福島原発炉から北へ約25kmのところに南相馬市がある。

その市立総合病院副院長の及川医師による地域実態報告がこの8日、衆議院の委員会参考人質疑としてなされた。

南相馬市では脳卒中の発生率が35歳~64歳で通常の3.5倍に増加しているという。

 

チェルノブイリでもガン以外に脳卒中、心臓病等の発症率が異常に高いと報告され、放射線影響研究所もそれを認めるデータを有し、そして今、福島でもその状況が出てきている。

にもかかわらず、政府は原発事故による被曝リスクはガン以外の疾病には認めようとしない。

無知なのかそれとも何らかの意図に基づくものなのか。

 

国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する。

これはプログラム規定ではない。

放射能汚染は目の前にある危機なのだ。

これを保障するのが政府の役目だ。

最低限、正確な情報を国民に提示する必要がある。

 

怖くて誰も近づけない福島原発炉、実は漏れていた高濃度の汚染水など・・・放射能の恐怖にさらされて福島県民が生きている現実は3年前と変わらない。今、本当に大丈夫と太鼓判を押せるのか?マスコミは連日円安のニュースを繰り返し、自民党は原発再稼働を参院選のテーマにするという。

福島被曝の実態は忘却の波にのまれていくようだ。